クールな上司とトキメキ新婚!?ライフ
「柏原は、別に何も言わなかった?」
「理解してくれました」
「……本当、お前って」
何か言いかけた彼は、ケーキでそれを押しこんだ。
「なんですか、言いたいことがあるならご遠慮なく」
一緒に買ってきてくれたシャンパンを飲んで、ひと呼吸置く。
ソファに並んで座るこの距離が、本当は嬉しくて仕方ないのに、浸れないのは燻る失恋のせいなのかな。
失恋して仕事が手につかなくなるなんて情けないと、自分でもそう思う。
だけど、いくらくだらないと言われたって、それなりに意味があって選んだこと。
誰かと無駄に摩擦を繰り返して生活するなんて、疲れてしまうから。
「男を見る目なさすぎて、笑えるわ」
ばっさりと斬られた私の恋心は、傷心しきっていてもまだ傷つく余地があったらしい。