クールな上司とトキメキ新婚!?ライフ
グラスを傾け、シャンパンを飲み干してすぐに注ぎ足す彼を見つめる。
口の中はシフォンケーキとクリームの味がするはずなのに、部長のキスに塗られているみたいで、ぼんやりとしか感じなくなった。
「恋愛してるわけ、ないじゃないですか。だって、企画のためだって部長が言ったんですよ」
「……」
「でも、こうして一緒に生活させてもらうようになってから、寂しいって思う時はなくなったかもしれないです」
先に帰っても、必ず部長は帰ってくる。
ただいまって言われて、おかえりなさいって出迎えて。
書斎に着替えに入って、戻ってきたら食事をするの。
そのあとは日によって過ごしかたは違うけれど、部長がいるって感じられるから。
だから、寂しくなんかなかった。
「結衣」
突然、名前を呼ばれてドキっとした。
部長の声は、耳触りがいい。会社にいても、電話越しでも、怒られている時でも。
「もう1回。だから……目、閉じて」