クールな上司とトキメキ新婚!?ライフ
パタン、と音がしたほうを見るけれど、何もない。
フロアの扉が開いた気がしたのに、誰もいない。そろそろ警備員が見回る時間だから、在室しているのを見てすぐに戻っていったのだろう。
「クリスマス、何してたの?」
「……友達と飲んだりしてました」
飲んだり、部長とケーキを食べたり、キス……されたり。
「そうなんだ。連絡くれたらいいなって思ってたんだけど」
「……やめてくださいよ。私、振られてるんですよ?」
「ま、そうだよなぁ。でもさ、やっぱり結衣を見ると、気持ちが乱されるんだよ」
「知りませんよ、そんなこと。もう終わったことじゃないですか」
1歩ずつ詰め寄って、椅子から逃げられない私に近付く彼から身を引く。
「終わってんの?結衣のなかで、もう俺って過去?」
顎先を持ち上げられ、真正面から柏原さんと向きあう。
触れられたくなくて、思い切り顔を背ければ、あっさり彼は手を下げた。