クールな上司とトキメキ新婚!?ライフ

「わかったよ。もういいわ」

 氷よりも冷えきった目つきで、私を凍らせる。


 怒りと後悔と、自責。

 なんでこんな男に、守ってきたものをバカにされなくちゃいけないの?

 どうしてこんな男に、惚れてしまったんだろう。


 私って、本当に見る目がない。

 部長はそう言わなかったようだけど、男運がないんじゃないかって思う。




 柏原さんが出て行って、しばらくしてから席を立った。

 年末の電車は、忘年会を1次会で切り上げた酔っ払いがいて騒がしい。
 落ち込みかたが解らない夜は、静かに1人になる時間が欲しいのに。


 イヤホンで遮断した世界は、好きな音楽が蔓延する。


 目をつぶれば、あの日に帰れるんだ。
 クリスマスイヴの昼間、その夜。


 部長の甘い甘いキスと、切なくてじれったいベッドの距離。


 手に入れたいのに、届きそうで届かない。


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