クールな上司とトキメキ新婚!?ライフ
「もっと難しいこと並べるのかと思ってたんだよ。悪いって言ってるんじゃない」
「まだありますよ。してみたいことっていうより、してほしいし、してあげたいことですけど」
「どんな?」
大きなカーブの遠心力で、部長側に身体が傾いた。
唯一、私が纏えない彼の香水の匂いが鼻を掠めていく。
「大切にしてほしいし、大切にしてあげたいんです。好きな人の好きな人でいられたらいいなって思うから」
変なことを言ったつもりはないのに、部長は黙ってしまった。
だから、明日は何がしたいとか、朝ご飯はお正月っぽい方がいいかとか、思いつく会話の引き出しを片っ端から開けて、沈黙から逃げた。
部長の家は、離れたところからでも見える。
タワーマンションの灯りが所々灯っていて、それだけ幸せの数があるのかななんて思ったりして。
「結衣は相手を信じられるように、愛されてるっていう証がほしいんじゃないか?」
数十分ぶりに部長が話してくれたのは、マンションの駐車場に車を停めた時だった。