クールな上司とトキメキ新婚!?ライフ
「おかしいですか?そんなことがしたいなんて」
「そうは思わないよ」
他の住人も乗り合わせたエレベーターの中じゃ、込み入った話はできず、また口を噤む。
隣を見上げれば、階数表示に視点を合わせる部長の横顔があって、問いかけるように見つめ続けた。
本当に、企画のためだけなの?って……。
そうじゃなきゃいいのに、って。
慣れた手つきで鍵を開け、彼が先に玄関に入った。
「おかえり、結衣」
まだ2人とも靴を履いたままだけど、ちゃんと約束を守ってくれる部長に微笑みかけた。
「……50点です」
いつかの彼を真似た私にわざと怒った顔をして構ってくれただけで、表情が緩んでしまう。
「……もしもし。ーーそう、帰ってきたところ」
彼はポケットの携帯を耳に当て、書斎に入っていく。
度々2人きりの時間を割く、電話の向こうの誰かの存在に心の底から妬いてしまうのは、恋に落ちているからだ。