クールな上司とトキメキ新婚!?ライフ

 夜が深くなってきて、私が先にシャワーを済ませ、部長は好きなタイミングで寝支度を済ませた。

 部屋にいないときは、彼がいた場所に座る。彼から見える景色はなんでも知りたくなるから。



「これ着て」

 シャワーから戻ってきた彼が、温かそうな起毛のパーカを渡してきた。
 羽織ると、だいぶ大きなサイズに指先が隠れてしまって、必然的に自分が女だと自覚する。




 彼が出て行ったベランダに、一緒に並んで立った。


「湯冷めしないようにして」

「その時は、もう1回シャワー浴びてから寝ます」

「ん」


 何の前置きなしに、彼は夜空を見上げる時間を作ってくれた。

 高層ビルの灯りのせいで星はほとんど見えないけれど、それでも綺麗だと思える。



「1つ、教えてもらえますか?」

「なに?」

「旅行の日、どうして私の部屋に来たんですか?」

 あぁ……と思い出している彼は、どんな答えをくれるんだろう。


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