クールな上司とトキメキ新婚!?ライフ

「傷つかない恋なんて、ないですから」

「そりゃないだろうけど、ちゃんと気持ちを伝えられたら、ほぼ無傷だよ。フラれても前に進める」

「どうしても伝えられないときだって、きっとありますよ」

「それは、逃げてるんじゃないか?賢く恋愛しようとしないで、無我夢中で手に入れようと分別を忘れそうになるのもいい。そうじゃなきゃ、きっとそこまでの恋なんだって俺は思う」

「私は……そんな強くなれないな」

 夜空から隣に立つ彼に顔を向けたら、パーカのフードを被せられて何も見えなくなった。



「好きで好きでたまらなくて、なにをどうやっても手に入れたい相手なら、なりふり構っていられないだろ?……とにかく好きだって気持ちに気づいてもらわなきゃ始まらない。誰かに盗られて後悔するのなんて、俺は望まないな」

「っ、くしゅっ!」

「……戻ろう。ごめんな、長居させた」

 私の背中に触れて、先に部屋に入れてくれた彼の手が優しくて困る。


 部長は、一々私を困らせてばかりだ。


 もっと冷めた恋ばかりしてきたんじゃないかって思ってたのに。

 彼もそういう経験があったんだって知ってしまった。

 部長に愛される相手は、どんな人なんだろう。


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