クールな上司とトキメキ新婚!?ライフ
「時々、眠れない夜があってさ」
おもむろに話し出した彼の吐息が、髪を甘やかす。
お腹に回された手が重ねられていて、私が温められているんじゃないかって思える。
「そういう時、お前のこと考えたりするんだ。どうしたら、楽しく過ごしてくれるかって」
「私、楽しいですよ。思ってたよりもずっと、部長と過ごしてる時間を満喫してます」
「……愛斗だって何回言わせる?」
「ごめんなさい」
ぎゅーっと抱きしめられて、苦しくて嬉しくて楽しくて、今日が終わってほしくない。
部長と特別な関係になれなくても、今が続くなら……私の勘違いでもいいから。
「企画のためとはいえ、愛斗さんが私を可愛がってくれるのが、意外でした」
緩んだ腕の中で反転して、彼と向きあう。
勇気を出して伝えないといけないって、教えてくれたのは彼だから。
「……部下を本気で可愛がって何が悪い?」
見つめ合っているはずの彼の瞳が暗くて見えにくい。
伝えてはいけない想いには、勢いが必要だと知った。