クールな上司とトキメキ新婚!?ライフ

「もし、俺が間違って呼んでも反応しないで」

「そんなの無理ですよ。名前呼ばれたら返事をするっていうのは、当たり前じゃないですか」

「そこをなんとか」

「あはは、無理です」

「佳乃あたりから猛烈に当たられても許して」

「勘弁してください。そういうバレかたは望みません」

 2人で大笑いして、いくつか信号を渡って、会社から遠ざかって……。


 突然訪れた沈黙に、彼の好きな曲が流れる。
 お正月に鎌倉に行った時と同じプレイリストだってすぐに気づけるくらい、私の中に彼がいる。



「結衣」

 返事をしないでと言われた流れで、どちらが正解なのかと迷う。
 視線だけで運転席の彼を見れば、私を真っ直ぐに見つめる彼と視線がぶつかった。



「だけど、今だけはバレてもいいって、望んで」


 ハンドルに手を置いたまま、彼は身体を傾ける。

 時々、彼のタイミングで落とされるキスは不意をつくから、簡単に胸が鳴る。



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