クールな上司とトキメキ新婚!?ライフ
熱のある視線が剥がされたのは、赤信号が強制的に今を終わらせたから。
そう願うのは、私が彼の瞳に特別な感情を見たと、勘違いしていたいからだ。
「……どうして、今?」
「バラしたんだよ。俺たちのこと」
「誰にですか?」
寒風を切って走る車内に、刺激的な静寂が広がる。
バラしたところでメリットがあるとは思えなくて、部長の横顔を見つめ、答えを求めた。
「柏原。店舗視察の帰りだったんだろうな。さっき歩道にいて、俺たちを見つけたみたいだったから」
彼が守っていたものを、彼が壊したのはなぜなのか、理解できなくて頭の中が混線する。
「携帯、鳴ってるよ」
よりによって、元カレに見せつけなくてもいいのに。気まずさで動揺しながら、届いたメッセージの通知に動きを止めた。