クールな上司とトキメキ新婚!?ライフ

「資料だらけで悪いんだけど」

 階下にある店舗統括部に通され、柏原さんの席へ座らされた。当の本人は隣で中腰になってPCと広げた資料を指示しながら説明している。
 話はもちろんちゃんと聞いているし、聞かれたことにはそれなりに答える。自分ではわからない点については、後で部長から連絡を入れると対応を決めて、5分とかからずに終わりそうな気配だ。
 でも、大して存在を認められていない日陰女子の私が、柏原さんの席に座っている時点で大注目を集めてしまった。仕事とはいえ、望まぬ影響に一層身を縮める。



「OK、大体のことは分かった。本当助かりました」

「こちらこそありがとうございました。それでは」

 チャッチャと用を済ませて、自席に戻るのが賢明。長居すればするほど、社内の王子様と日陰地味女の組み合わせは人の興味を惹きかねない。


「で、この前のキスはどうだった?」

 風を切るように顔を向ければ、手ごたえを感じている柏原さんと思い切り目が合った。


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