クールな上司とトキメキ新婚!?ライフ

「勝手を言ってるのはわかってんだよ。でも、こうでもしなきゃ結衣は戻ろうとも思わないだろ?」


 長身に纏うニットの触りが柔らかい。
 偽物の恋を信じろなんて言われても、2度と同じ失恋は繰り返すつもりもなくて。


 でも今は、優しくされたら、泣きたくなる。


「俺くらいだと思うよ。結衣が泣きたい時もムカついてる時も、全部さらけ出せんの」

 背中をそっとあやされて、じわりと涙腺が緩んだ。

 柏原さんに流されたいなんて微塵も思わない。だけど、誰かの胸を借りたいときは私にもある。
 誰でもいいわけじゃない。本当は部長じゃなきゃ嫌なのにーー。



「……私、千堂部長にチョコ、渡すって決めてて……」

 カウントダウンされる表示が1になって、エレベーターから姿を見せたのは、沙良さんだった。



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