クールな上司とトキメキ新婚!?ライフ
「瀬織さんとは、企画の件でご一緒しているだけです。確かに金曜の夜に言われてもおかしくないような状況はありました。でも、それは単にそう思われただけのことで、本当に仕事の話をしていたまでですから」
聞いたことを受け取るだけの間が空いて、担当社員が私に視点を変えた。
「瀬織さんは、どうでしょうか」
「私は……柏原さんが仰ったとおりです。あの日は残業をしていて、帰ろうとしたところで柏原さんと会ったので、企画の件でお話していたんです。疑われてしまうようなこともあったかもしれませんが……特に何もございませんので」
彼に合わせて、嘘をついた。
だけど、これでよかったのかなんて分からなくて、何も言えなくなる。
「抱き合っていた、と聞いていますが」
「ええ。同僚であり後輩でもある瀬織さんが落ち込んでいて、何もせずにいられなかっただけです。それが間違っているのでしたら、今後は改めます」
「では、伺った通りに報告させていただきます。お時間をありがとうございました」
淡々と答えてくれた彼と、合わせただけの私。
ちぐはぐな現実をひそめ、2人並んで部屋を出た。