クールな上司とトキメキ新婚!?ライフ


 1段下にいる彼は、少女漫画に出てくる王子様のように跪いて、手を差し伸べてきた。



「結衣を幸せにしたい」


 柏原さんの真剣なまなざしが突き刺さる。
 誰が聞いているとも知れないのに堂々としていて、その姿にまったく心が動かないわけもない。



「……なんて言っても、答えをもらえないって分かってんだけど」

 ゆっくり立ち上がった彼は飄々とした様子に戻り、お先にと言って階下へ行ってしまった。


 私に何も言わせず、ただ彼の想いをぶつけられてしまい、ぼう然とするばかりだ。



 幸せにしたいなら、もっと最初から大切にしてほしかったと思う。

 でも、今の柏原さんなら、少しくらい信じてみたいとも思ってしまう。

 プロポーズなんてされたことなかったから、どうしても潔くあしらえなかった。


 少なからず、金曜の夜と今日は、彼にいくらか救われたのも事実だから。


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