クールな上司とトキメキ新婚!?ライフ

「あっ、それから」

 自席に戻ろうとする私を、彼女が呼び止めた。視線を戻せば、他にも聞きたいことがあったと思い出したような表情を見つけた。



「どういうことなのかなぁって」

 ちょっと分かりにくい資料を過去の資料を指差し、首をかしげている。



 その指先には、千堂部長の名前。

 商品企画部 部長と肩書をつけた会議資料の彼の名前を、綺麗に飾られたネイルが示している。

 そして、同じ書類にあった柏原さんの名前に動いた。



「どうなの?貴女。いいと思っているの?目立たないフリをして、虎視眈々とこっちにまで」

 画面を覗き込んだまま動けなくなった私の耳元で、冷静な囁きで問いただす沙良さんが怖くて、生唾を飲んだ。



「こっちは別にいいわ。でも、千堂だけは渡さない。……規則は守りましょうね」


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