クールな上司とトキメキ新婚!?ライフ
「……沙良さんのこと、友達なんて嘘じゃないですか。彼女が私をよく思っていないのは、部長のせいで」
「それにはちゃんと理由(わけ)があって」
部長がいけないんですよ。
その気がないのに、私に優しくするから。
企画のためだからって、抱きしめたりキスをしてくれたから。
そんなの、好きになるに決まってるじゃないですか。
好きになれって、俺以外見るなって、虜にさせて楽しいですか?
「先輩に、私を彼女だって紹介しなくても良かったんですよ。嘘に嘘を重ねたら、私だって傷つくんです」
「だから、話を聞けって!」
手を繋いだのも、一緒に過ごした時間も、寄り添って眠った夜も。
深くなくても溶かすほどに熱く甘い、キスも。
私といた時間を忘れてほしくない。
「……恋人のフリなら、何をしてもいいんですか?!こんなこともあんなことも、全部許されるんですか?」
そう言い捨てて、給湯室から出て行こうとしているのに、私の肩が思い切り後ろに流れた。
数秒前に見た景色と同じ。
淡いクリーム色の壁に、私は背中を当てている。