クールな上司とトキメキ新婚!?ライフ
部長に繋がれた手はそのまま、沙良さん宛の書類だって変わらずにある。
「……人の話を聞いてから文句を言え」
「なっ……なによ、偉そうに!」
「偉そうにじゃないんだよ、現に俺は上司だ。大して偉くはないが、従ってもらう権利はある」
狭い空間に漂う、彼の香りに酔いそうだ。今でも悔しいくらい大好きだから……切なさに押しつぶされそうで泣きたくなる。
「愛斗さんがいけないんです。どうしてこんなに……っ!」
繋がれていた手が解かれ、大きな手のひらで唇が覆われている。
困らせたかったから、少し大きな声で彼の名を口にして、言い返そうと思った。
部長が……愛斗さんが私の気持ちを離してくれないんだって、片想いを彼のせいにしたくなった。
だけど、その制裁は苦しいのに、優しい温もりがある。
「……黙れ」
彼は手のひら越しにキスをした。