クールな上司とトキメキ新婚!?ライフ
彼の手を掴んで、口元から剥がすように思い切り遠ざけた。
「こんなこと、しないでください。企画は軌道に乗って順調に進んでるんですから」
極めて不機嫌な顔で見下ろされても、言いたいことは言わせてもらうんだ。
もう部長とは何もないんだから……乱されたくない。
ジャケットの内ポケットに入れていた携帯が鳴ると、彼はすぐに取り出して応答した。
「――千堂です。お疲れさまです。すみません、今ちょうどお届けしようと思ってたので、すれ違ってしまいましたね」
彼の視線が資料に落とされて、また沙良さんに割って入られたと知った。
部長の気持ちがわかりそうなのに。
いま何を思ってそんなに怒っているのか、話してくれるって期待した私がバカみたいだ。