クールな上司とトキメキ新婚!?ライフ
「逃げてなんかないです。仕事に戻るだけで」
「そうじゃなくて」
柏原さんの質問に、どういう答えが望ましいのかと彼の胸元から顔を上げた。
恋をしている自覚はない。
でも、誰もが認める美形に抱きしめられているうえ、何度も近距離で見つめられたら……。
だから、干からびてる場合じゃなかったのよ。
ポーズで済ませるはずの地味が、じわじわと私生活にも染みてきて、いつの間にかまともな恋愛から遠ざかっていた私に、柏原さんはぐいぐいと入り込んでくる。
無遠慮な微笑みに、私は思わず息をのんだ。
「俺から逃げないで」
「だから別にっ……」
ぎゅうっと抱きしめられて、胸の奥が鳴った。