クールな上司とトキメキ新婚!?ライフ
彼は膝立ちで鍛えられた身体の線を隠さずに、私を真っ直ぐ見下ろしている。
――この先の世界を知らないと、いま打ち明けよう。
いくら私が痛みや不安を我慢したとしても、彼が後から知ったら傷つくと思う。
「愛斗さん」
「ん?」
私も彼も、後悔するのは望まないから。
いつか乗り越えなくちゃいけないことなら、今がいい。
「実は……愛斗さんが初めての人なんです。だから、その」
ずっと私の心に引っかかっている事実を告げると、瞬く間に彼の表情が驚きに変わった。
思っていたとおりの反応を返され、手がかかるうえに重たい女だと彼も思ったかもしれないって気持ちが沈んでいく。
すぐに目を合わせられなくなって、顔ごと背けて泣かないように耐えようとした。
「結衣、そんな顔しないで?」
ゆっくりと覆いかぶさってきた彼が、常夜灯の明るさに影を作る。
そっと髪を撫でてから、背けた顔を自然に誘導してくれたその手に、自分の指を絡めた。
「俺は嬉しいよ。大切に愛してあげたいけど、溺れる覚悟だけはして」