クールな上司とトキメキ新婚!?ライフ
今日も懸命に働く彼女を、視界の端で追う。
誰が言い始めたのか知らないが、俺は高嶺の花らしい。そのせいで周囲の視線は特別集まりやすくなった。
――不便だ。
柏原みたいにフットワークが軽ければいいけれど、任された席と仕事の責任を考えれば、嫌でも慎重になる。
会社じゃないと会えないのに、仕事以外の会話が増えれば、多少なりとも不自然に映る。
もっと知りたい……瀬織さんがどんな人なのか、もっともっと見てみたい。
誰かが彼女に恋をしてしまう前に。
俺以外の男が、手をつける前に。
従順そうで、控えめなその姿を乱してみたいと、俺の欲が走ってしまう前に。
「さっき、お願いしたい業務をメールしたんだけど、見てくれた?」
いいよね?俺から仕掛けても。
今から連れ出すから、ちゃんとついてきて。
「俺と一緒じゃ、そんなに退屈?」
運転しながら、視界の端で彼女を見つめた。
俺と、恋をしてみない?
絶対に知られてはいけない、秘密の社内恋愛。
ルールを破ってしまうけど、キミを幸せにする自信はある。
永遠に守ってやるから。
――彼女の毎日が、仮面で飾られたものだと知るまで、あと少し。