クールな上司とトキメキ新婚!?ライフ
充実はしあわせのはじまり
黙々と進める仕事は嫌いじゃない。むしろ得意だ。締切さえ守れば、自分のペースで進めることもできる。
でも、周りと話し合いながら意見を出しあって進める作業は……おそらく苦手になるだろう。
「瀬織さんの案だと、他社ブランドの類似になると思うんだ」
「それはそうなんですけど、そうならないようにアレンジをするってことじゃないの?」
私はそっちのけで、チームに召集された面々が矢継ぎ早に話している。
企画が本格的に軌道に乗るまでは、より集中的に開かれる打ち合わせから、私は早くも戦線離脱気味だ。
皆さんの言っている意味が分からないということではなく、自分の案が否定されているからでもなく、ただついていけないの1点に尽きる。
もっとじっくり考えてから望むべきだったと後悔するも、次々と展開する話は脱線してしまうこともしばしば。
「瀬織さんは?何か思うところある?」
千堂部長が混線している会話を一旦止めた。
「あの、新参者が言うことではないとわかっているんですけど……」
数分ぶりに口を開けば、一斉に視線が集まる。
日陰で地味な私がこんなに見られることがあっただろうか。