クールな上司とトキメキ新婚!?ライフ
……とはいえ、悔しい。
買ったばかりのオレンジジュースを一気に飲んで、ぷはーっと息をつく。
薄暗い休憩室からは、夜の色に染まりゆく街並みと遠くに広がる藍に変わっていく海が見える。
キラキラしてる。会社のネームバリューも、オフィスも、働いてる人たちも。
人目を気にしてるのは、私のほうだ。
妬まれたくないからって日陰を好んで、本当の姿を隠して過ごすなんて……悪く言われても仕方ないのかもしれない。
「まだ帰れないの?」
背後から声がして勢いよく振り向くと、自販機で缶コーヒーを買う柏原さんがいた。
「お疲れさまです」
「お疲れ、なのは結衣ちゃんのほうじゃない?」
「そうでもないですよ、私はいつもこんな感じで」
「ふっかーいため息ついてたくせに」
片手でプルタブを引いた彼は、並べられたソファの背に浅く腰を掛けた。