クールな上司とトキメキ新婚!?ライフ
いつの間にか、この恋に彼よりも浸かってしまっていること。
私のほうが、きっと彼よりも好きでいること。
こんなことって思えるのに、嫌なものは嫌で……。
「彼女って、紹介しても良かったんだけどね」
私が腑に落ちない原因を突き止めた彼は、ぽろりと言葉を漏らす。
「サチ、さっきの子ね。会社の子だからさ」
「……そう、だったんですか」
「総務の子だよ。もしかしたら、結衣だって気づかれるんじゃないかと思って、完全に俺とだけ話して立ち去らせないと、何かあったらお互いマズいじゃない?」
「はい」
「だから、結衣を無視したわけじゃないの。むしろその逆」
撫でられる髪が、愛されていると実感する。
陽光に照らされた彼の笑顔が優しくて、まっすぐ見つめてくるその瞳が私を捕らえた。
「結衣を守るため」
行こうか、と先に席を立った彼は、ワンテンポ遅れて立ち上がった私にそっとキスをくれた。