クールな上司とトキメキ新婚!?ライフ
涙は略奪のはじまり

 日々多忙ながらも、柏原さんは連絡を怠らない。意外とマメな性分だって言っていたけれど、自負するだけのことはある。

 すっかり秋本番を迎えた10月中旬は、例年より暖かくて秋服の出番は少なそうだ。
 と言っても、私の場合は地味ゆえにあまり変わり映えしない。カットソーがニットになるくらいで、色味は至って控えめだ。白ニットを着るだけでも、地味子的には頑張っているほう。


「打ち合わせの前に、少しいいですか?」

 企画の打ち合わせより30分ほど早く、千堂部長と連れ立ってフロアを出た。


「例の件、時間がある時にって連絡くれていたよね」

「はい。私なりの判断で、3つに絞りました。一応、全部押さえてありますが、決まり次第2つはキャンセルします」

 空いていたミーティングルームに入ると、使用中であることを示すランプが灯る。


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