クールな上司とトキメキ新婚!?ライフ

「瀬織さん」

 なかなか後をついてこない私を、部長が呼ぶ。
 どうしても気になるランプを何度も振り返りながら、フロアの扉へとつま先を向けた。



「隣の部屋、どうかした?」

「いえ、特に……」

「長い打ち合わせでもしてるんだろう。よくあることでしょう?」

「ええ、そうですね」

 同調すると、部長は企画の件に話を変えた。


「あと少しで季節が変わる。分かってると思うけど、夏と冬はインテリアを買い足す人が多いし、春になれば新調する割合が高くなる。今のうちに軸を完成させないと、企画が倒れては時間も労力も無駄になる」

 部長が私に気合を入れ直す。はい、と返事をすれば、にっこりと微笑んで振り返った彼に、妙な胸騒ぎがすっと消えていった。


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