クールな上司とトキメキ新婚!?ライフ





 もっと、くっついていたい。
 彼に抱きしめられると、溶けてしまいたくなる。

 帰宅して、缶ビール片手にテレビを観ていたら、予告なしに柏原さんがやってきた。
 出迎えた玄関ですぐに腕の中に閉じ込められたら、彼が纏う外気の匂いすら愛しくなった。


「今日は、会えないと思ってた」

「どうして?」

 彼の問いかけに、胸元から見上げる。この景色が私の日常になってから、ずいぶんと満たされてばかりだ。少しも欠けてほしくないものが積もっていく。


「会社ですれ違いもしなかったから、そういう日もあるかなって」

「俺は、会えるって思ってたよ」

 耳に落とされるキスが優しい。私を甘やかすだけの彼の唇は、虜にしようと襲い掛かってくる。


「結衣、抱きたい。抱きたくて、結衣が欲しくて来た」

 情熱的な彼の瞳と声色にほだされたいのは、私の願望だと気づいた。


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