【完】確信犯な彼 ≪番外編公開中≫
「最近、また吸い始めたからな……」
そう言って、肩をすくめる。
そんな彼がいつもの彼らしくないように見えて、
どこか少しだけこの状況に苛ついているようにも思える。

私はそんな彼のことがとても気になって
心配しているのに、

「まあ、何か悪い事でもしてきたんじゃないんですか?」
そうからかうように言ってしまう。
「……さあな……」
普段なら、面白そうに乗ってくるくせに、
今日に限っては本当にノリが悪くて、

「……やっぱりなんか、問題あるんじゃないんですか?」
そう尋ねると、
一瞬何か言いたげな顔をする。

「……私でよければ聞きますよ?」
珍しく素直に私がそう言うと、

「…………・」
一瞬黙り込んで、次の瞬間、
また、新しい煙草に火をつける。

「……珍しく、優しいな……」
明日は間違いなく雨が降るな、と
一瞬いつもみたいに、目を細めて笑い、
からかうような口調をする。

「私、病院では、優しい看護師って評判なんですけど?」
そう口をとがらせて、言いかえすと、
いつものようにくつくつと笑い、
くしゃりと私の頭をかきまわす。

「わかった、わかった……」
そう言って、ぽんぽんと頭を叩いて、
「佳代はいい看護師になってるよ」
そう甘やかすように言って、
それだけで、彼はもう先ほどまでの、
どこか苛ついたような、不安定な雰囲気を消しさってしまう。
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