【完】確信犯な彼 ≪番外編公開中≫
それは、私がまだ東京の専門学校にいた時期に、
東京であった、凄惨な事件の話で、
私の脳裏に当時のニュース映像が駆け巡る。
日中に行われた犯行だったから、
その場にいた人たちが撮った画像も出回っていて、
その事件の酷さに、深い印象があった。

亡くなった人が何人もいたはず。
最後はどこかの学校の先生が、
その犯人を捕まえたとかで、
一時英雄視されたんじゃなかったかな。

ふとそんなことを思い出しながら、
あの事件の後日談の記事を読んでいて、
「……あ……」
思わず小さな声が漏れる。
あの犯人を捕まえた、どこかの学校の先生……は、
Ｍさんとして書かれている。
現在は、諸島部で小学校教諭をしていると書かれていて……。

それって……。
読み進めるうちに、そこ書かれているＭ先生は、
宮坂先生のことのように思えてくる。
柔道の有段者で、小学校の先生で、
あの事件で犯人と立ち向かった時に、
頬に後に残る切り傷をつけられた。
そして、
あの事件の後、諸島部の学校の先生になって……。

そしてそこには、もう一つの姿が描かれていて、
それは、彼の結婚を誓い合っていた、という恋人がいたという話だ。
そもそも、拓海は、その人を護るために、
命がけで犯人と戦ったと、その記事では書かれていた。
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