【完】確信犯な彼 ≪番外編公開中≫
しばらくして、涙が枯れて、
しゃくりあげていた声が徐々におさまってくる。
私はそっと顔を隠して、彼から距離を取る。
「……ごめん、貴志……」
そう呟くと、ふっと自嘲気味に彼が笑う気配がする。
「……いいよ……連れてきたのは俺だし……」
そう言って、もう一度髪を撫ぜようとするから、
やっぱり頼りっぱなしは良くないような気がして、
私はもう一度彼に距離を取るようにする。
一瞬彼の表情が歪んで、
次の瞬間、彼が私を捕えて
その腕の中に私を閉じ込める。
「……貴志?」
思わず彼の顔を見上げて、彼の表情を追う。
瞬間彼は視線を逸らして、
腕の力だけ、強く籠めなおす。
「……痛いよ……」
とっさに漏れた言葉に彼が、はっとした顔をする。
「わりぃ……」
そう言って少しだけ手の力を緩めるものの、
私を解放してくれることはなくて、
「あの……」
そう彼に声を掛けると、
瞬間彼の顔が近づいてきて、
慌てる私のおでこに、彼は自分のおでこをコツンとつける。
はぁっと、一瞬目をつぶって彼はため息をつく。
「…………んとに、お前、鈍感だよな?」
いきなりそう言われて私は戸惑う。
「……?」
きょとんとした私の顔を見て、彼は苦笑いを浮かべる。
「お前が味わっているっていう、
その苦しい気持ちとか、切ない気持ちってのを、
お前もほかの人間に味あわせているってこと、
全然気づいてもないんだろう?」
私は彼の言っている言葉の意味が全然理解できなくて、
「……何のこと?」
思わずそう聞き返してしまう。
まだ酔っぱらっているせいだろうか、
頭が全然回ってくれなくて、
しかも、彼の腕から抜け出すということもすっかり忘れていた。
瞬間、彼が私を腕の中から解放する。
その場に立ち上がって、ガシガシと頭をかきあげる。
私の飲みかけのミネラルウォーターを取り上げて、
そのまま一気に飲み干す。
そのくせ背中を向けたままで、
ぼそりと、言葉を漏らす。
「目の前にいるだろ?」
そう言って、ベッドに腰掛けなおす。
ふてくされたような顔をして、チラリとこっちを一瞬見る。
しゃくりあげていた声が徐々におさまってくる。
私はそっと顔を隠して、彼から距離を取る。
「……ごめん、貴志……」
そう呟くと、ふっと自嘲気味に彼が笑う気配がする。
「……いいよ……連れてきたのは俺だし……」
そう言って、もう一度髪を撫ぜようとするから、
やっぱり頼りっぱなしは良くないような気がして、
私はもう一度彼に距離を取るようにする。
一瞬彼の表情が歪んで、
次の瞬間、彼が私を捕えて
その腕の中に私を閉じ込める。
「……貴志?」
思わず彼の顔を見上げて、彼の表情を追う。
瞬間彼は視線を逸らして、
腕の力だけ、強く籠めなおす。
「……痛いよ……」
とっさに漏れた言葉に彼が、はっとした顔をする。
「わりぃ……」
そう言って少しだけ手の力を緩めるものの、
私を解放してくれることはなくて、
「あの……」
そう彼に声を掛けると、
瞬間彼の顔が近づいてきて、
慌てる私のおでこに、彼は自分のおでこをコツンとつける。
はぁっと、一瞬目をつぶって彼はため息をつく。
「…………んとに、お前、鈍感だよな?」
いきなりそう言われて私は戸惑う。
「……?」
きょとんとした私の顔を見て、彼は苦笑いを浮かべる。
「お前が味わっているっていう、
その苦しい気持ちとか、切ない気持ちってのを、
お前もほかの人間に味あわせているってこと、
全然気づいてもないんだろう?」
私は彼の言っている言葉の意味が全然理解できなくて、
「……何のこと?」
思わずそう聞き返してしまう。
まだ酔っぱらっているせいだろうか、
頭が全然回ってくれなくて、
しかも、彼の腕から抜け出すということもすっかり忘れていた。
瞬間、彼が私を腕の中から解放する。
その場に立ち上がって、ガシガシと頭をかきあげる。
私の飲みかけのミネラルウォーターを取り上げて、
そのまま一気に飲み干す。
そのくせ背中を向けたままで、
ぼそりと、言葉を漏らす。
「目の前にいるだろ?」
そう言って、ベッドに腰掛けなおす。
ふてくされたような顔をして、チラリとこっちを一瞬見る。