【完】確信犯な彼 ≪番外編公開中≫
そんな会話をして、
昨日のことはお互いに話に出さなくて、
「そろそろ仕事行かねぇと……」
そう言いだす貴志に、
「うん、私も帰る。
私も仕事行かないと……」
そう言って立ち上がると、
玄関先まで彼が送ってくれる。
「じゃあ、ありがとう
昨日はいろいろ迷惑かけてごめんね」
そう私が言うと、一瞬彼が拗ねたような瞳をする。
「迷惑なんかじゃ、ねぇよ……」
思わず、私が足を止めると、
貴志が私の腕をつかむ。
あっと声を上げる前に、彼が私の体を捕える。
ぎゅっと抱きしめられて、呼吸が止まりそうになる。
「……たか……し?」
私の声を奪うように、瞬間、唇をふさがれてしまって、
彼の腕の中で、私は突然のキスに、
何も言えなくなってしまう。
一瞬柔らかい感触を私の唇に残して、
彼が、あっという顔をして、
慌てて私を開放する。
「いつでも来いよ。
話ぐらい聞いてやるし、俺にとってはお前が……」
言いかけて、そのままくるりと背中を向けて、
「……なんでもない、じゃあな」
そう言って玄関の扉の向こうに消えてしまう。
私は思わず唇を抑えたまま、
その場に立ち尽くす。
今あったことすら良く理解できてない。
貴志にされたことも、
彼の言葉も、
そもそも昨日からあった全てが、理解できない。
男の人にこんな風にキスされたことは初めてで、
貴志が何を考えているかもちっともわからない。
私は呆然としたまま、
彼の部屋の前でしばらく立ち止まって、
ピピピという携帯のアラームに気づいて、
慌ててアラームを止めて、歩き始める。
仕事に行く時間だ。
家に帰って、一度着替えしてすぐ行かないと……。
考えないといけないことも、いっぱいあるけれど、
今は仕事が最優先だ。
そう言い聞かせて私はその場を立ち去った。
昨日のことはお互いに話に出さなくて、
「そろそろ仕事行かねぇと……」
そう言いだす貴志に、
「うん、私も帰る。
私も仕事行かないと……」
そう言って立ち上がると、
玄関先まで彼が送ってくれる。
「じゃあ、ありがとう
昨日はいろいろ迷惑かけてごめんね」
そう私が言うと、一瞬彼が拗ねたような瞳をする。
「迷惑なんかじゃ、ねぇよ……」
思わず、私が足を止めると、
貴志が私の腕をつかむ。
あっと声を上げる前に、彼が私の体を捕える。
ぎゅっと抱きしめられて、呼吸が止まりそうになる。
「……たか……し?」
私の声を奪うように、瞬間、唇をふさがれてしまって、
彼の腕の中で、私は突然のキスに、
何も言えなくなってしまう。
一瞬柔らかい感触を私の唇に残して、
彼が、あっという顔をして、
慌てて私を開放する。
「いつでも来いよ。
話ぐらい聞いてやるし、俺にとってはお前が……」
言いかけて、そのままくるりと背中を向けて、
「……なんでもない、じゃあな」
そう言って玄関の扉の向こうに消えてしまう。
私は思わず唇を抑えたまま、
その場に立ち尽くす。
今あったことすら良く理解できてない。
貴志にされたことも、
彼の言葉も、
そもそも昨日からあった全てが、理解できない。
男の人にこんな風にキスされたことは初めてで、
貴志が何を考えているかもちっともわからない。
私は呆然としたまま、
彼の部屋の前でしばらく立ち止まって、
ピピピという携帯のアラームに気づいて、
慌ててアラームを止めて、歩き始める。
仕事に行く時間だ。
家に帰って、一度着替えしてすぐ行かないと……。
考えないといけないことも、いっぱいあるけれど、
今は仕事が最優先だ。
そう言い聞かせて私はその場を立ち去った。