【完】確信犯な彼 ≪番外編公開中≫
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何とはなく、拓海とは連絡を取りづらくなったまま、
季節はゆっくり廻っていく。
一時期、雑誌が発売されてから、
拓海の周りは騒がしくなったけれど、
島の人たちの噂に上がることも、
時間と共に減っていった。
そもそも、彼は被害者だから、
口さがなくあれこれ悪く言う人もいなかったけど、
やくざ先生というニックネームだけは、
定着してしまったようで、
やくざ先生と呼ばれても
全然気にしない彼は、気軽に返事をしているみたいだ。
相変わらず、結衣さんからの連絡はないみたいで、
お正月に里帰りもしないで、
今年の春も彼は、転勤することもなく、この小学校に残っている。
その事実にひそかにホッとしている私は、
利己的な人間なんだと、つくづく実感する。
愛が無償で相手の幸せを祈ることならば、
恋は人を利己的にしてしまうのだろうか。
たまに、『穂のか』で拓海に逢うと、
今までと同じように話しかけてくれる。
転勤がないことも、3月には聞いていた。
だからと言って、私たちの距離が狭まることはなくて、
私は胸の奥に隠している恋情を、笑顔で誤魔化して、
それでも彼と過ごせる時間は嬉しくてたまらなくて、
そうやって、結局彼を諦めることも出来ずに、
毎日を送っていた。
春になって、隼大は中学校二年生になった。
拓海に勉強を教わっていたおかげで、
成績も、今のところ比較的悪くない。
未だにわからないことがあると、
小学校に聞きに行ったりしているみたいだ。
そして私は、たまに貴志にデートに誘われるようになった。
私が彼の誘いに戸惑っていると、
なんだかんだと理由をつけて、
彼は私を誘い出してしまう。
ためらう私に、
「遊びに行くくらいいいじゃんか」
と言って結局出かけることになってしまう。
ズルイ私はどこかで、
こうやって出かけているうちに、拓海のことも
忘れることができるかもしれないなんて、
そんな事を考えている。
何とはなく、拓海とは連絡を取りづらくなったまま、
季節はゆっくり廻っていく。
一時期、雑誌が発売されてから、
拓海の周りは騒がしくなったけれど、
島の人たちの噂に上がることも、
時間と共に減っていった。
そもそも、彼は被害者だから、
口さがなくあれこれ悪く言う人もいなかったけど、
やくざ先生というニックネームだけは、
定着してしまったようで、
やくざ先生と呼ばれても
全然気にしない彼は、気軽に返事をしているみたいだ。
相変わらず、結衣さんからの連絡はないみたいで、
お正月に里帰りもしないで、
今年の春も彼は、転勤することもなく、この小学校に残っている。
その事実にひそかにホッとしている私は、
利己的な人間なんだと、つくづく実感する。
愛が無償で相手の幸せを祈ることならば、
恋は人を利己的にしてしまうのだろうか。
たまに、『穂のか』で拓海に逢うと、
今までと同じように話しかけてくれる。
転勤がないことも、3月には聞いていた。
だからと言って、私たちの距離が狭まることはなくて、
私は胸の奥に隠している恋情を、笑顔で誤魔化して、
それでも彼と過ごせる時間は嬉しくてたまらなくて、
そうやって、結局彼を諦めることも出来ずに、
毎日を送っていた。
春になって、隼大は中学校二年生になった。
拓海に勉強を教わっていたおかげで、
成績も、今のところ比較的悪くない。
未だにわからないことがあると、
小学校に聞きに行ったりしているみたいだ。
そして私は、たまに貴志にデートに誘われるようになった。
私が彼の誘いに戸惑っていると、
なんだかんだと理由をつけて、
彼は私を誘い出してしまう。
ためらう私に、
「遊びに行くくらいいいじゃんか」
と言って結局出かけることになってしまう。
ズルイ私はどこかで、
こうやって出かけているうちに、拓海のことも
忘れることができるかもしれないなんて、
そんな事を考えている。