【完】確信犯な彼 ≪番外編公開中≫
「…………」
思わず黙ってしまって、彼の瞳と視線が交わる。
「……言えよ……」
そう一言言われて、思わずその声の色に、
心臓が甘く跳ねた。
はぁっと小さくため息をついて、
「……貴志のこと、好きになれなかった……」
そう一言言うと、彼が不思議そうに首をかしげる。
「別に好きになる必要、なんて
ないんじゃねぇのか?」
そう言われればそうなのだけど、
「でも、そうしないと……」
思わず言葉が止まる。
「……なんだよ、はっきり言えよ」
貴志のことを好きにならないと、
ずっと、拓海のことが好きで、諦められなくなっちゃう。
そう素直に言えてしまったら
どれだけ楽になれるんだろうか?
私は彼の瞳を見つめたまま、言葉を失う。
「好きに、なれるかなって思っていたのに、
結局なれなくて、貴志のこと、傷つけちゃった……」
そう言葉にすると、その事実が申し訳なくて、
思わず涙が浮かんできてしまう。
結局、私以外に大事な人が居たって、
報われなくたって、
今は拓海のことだけが好きで、
他の人なんて好きになる余地もないくらい好きで……。
「……だって、好きなんだもん……」
はっと気づいた瞬間、言葉が零れ落ちていた。
じわりと涙が浮いてくる。
しばらく声もなく泣く私に、
彼は一瞬ためらってから、私の肩を抱いて、
そっと私の髪を撫ぜる。
「……いいんじゃねえか?
好きだったら好きでいたら……」
なだめるように私に言う彼は、
私が誰を好きなのか、きっとわかってない。
「だって、好きになったら、きっと迷惑かけるもん」
しゃくりあげながらそう言う私に、
「相手の迷惑かどうかなんか、お前が気にする必要はない」
なおもそう言って、ゆるゆると髪を撫ぜる。
その指先が心地よくて、私は彼の肩に頭を預けて、
そのまま泣き続ける。
「好きでいたいなら、好きでいたらいい。
傍に居たいなら、好きなだけ傍に居たらいい……」
そう彼が穏やかな声で私に囁く。
私が誰を思って、こんなに苦しんでいるのか、
まったく何も気づいてないんだ。
鈍感なんだから。
そう思ったら、何だかおかしくなって、
くすり、と笑いが漏れる。
思わず黙ってしまって、彼の瞳と視線が交わる。
「……言えよ……」
そう一言言われて、思わずその声の色に、
心臓が甘く跳ねた。
はぁっと小さくため息をついて、
「……貴志のこと、好きになれなかった……」
そう一言言うと、彼が不思議そうに首をかしげる。
「別に好きになる必要、なんて
ないんじゃねぇのか?」
そう言われればそうなのだけど、
「でも、そうしないと……」
思わず言葉が止まる。
「……なんだよ、はっきり言えよ」
貴志のことを好きにならないと、
ずっと、拓海のことが好きで、諦められなくなっちゃう。
そう素直に言えてしまったら
どれだけ楽になれるんだろうか?
私は彼の瞳を見つめたまま、言葉を失う。
「好きに、なれるかなって思っていたのに、
結局なれなくて、貴志のこと、傷つけちゃった……」
そう言葉にすると、その事実が申し訳なくて、
思わず涙が浮かんできてしまう。
結局、私以外に大事な人が居たって、
報われなくたって、
今は拓海のことだけが好きで、
他の人なんて好きになる余地もないくらい好きで……。
「……だって、好きなんだもん……」
はっと気づいた瞬間、言葉が零れ落ちていた。
じわりと涙が浮いてくる。
しばらく声もなく泣く私に、
彼は一瞬ためらってから、私の肩を抱いて、
そっと私の髪を撫ぜる。
「……いいんじゃねえか?
好きだったら好きでいたら……」
なだめるように私に言う彼は、
私が誰を好きなのか、きっとわかってない。
「だって、好きになったら、きっと迷惑かけるもん」
しゃくりあげながらそう言う私に、
「相手の迷惑かどうかなんか、お前が気にする必要はない」
なおもそう言って、ゆるゆると髪を撫ぜる。
その指先が心地よくて、私は彼の肩に頭を預けて、
そのまま泣き続ける。
「好きでいたいなら、好きでいたらいい。
傍に居たいなら、好きなだけ傍に居たらいい……」
そう彼が穏やかな声で私に囁く。
私が誰を思って、こんなに苦しんでいるのか、
まったく何も気づいてないんだ。
鈍感なんだから。
そう思ったら、何だかおかしくなって、
くすり、と笑いが漏れる。