【完】確信犯な彼 ≪番外編公開中≫
早いペースで飲まされたカクテルと、
それから、やっぱり彼のことが気になるし、
麻生先生が聞き出すのも上手かったし、
……何より私が誰かに話を聞いてもらいたくて
仕方なかったんだろうと思う。
気づけば、洗いざらい、
この間のキスのことまで全部話してしまっていて、
「……ふぅん、そんなことがあったんだ……」
そう言って、くすくすと彼女が笑う。
「で、佳代ちゃんはどうしたいの?」
彼女は、年下の私を「ちゃん」づけで呼ぶようになっていて、
彼女の話し方が、頼りがいのある、大人の女の人みたいに思えて、
私は、顔をくしゃくしゃにして、
涙が零れそうな顔になりながら、
それを必死に抑え込んで、
自分の気持ちを一生懸命口にしていた。
「……初めて男の人、好きになったんだもん。
私を好きになってもらわなくてもいい、
……せめて今は、拓海の事、好きでいたいの……」
そう言葉にした瞬間、ぽろり、と涙が零れ堕ちる。
「うっわ、こりゃ、くるわ。
やっぱ私じゃ無理だな、これは……」
そんな私の頭を、よしよしと慰めるように撫でて、
それから肩をすくめて彼女が笑う。
「……宮坂センセも、よくキスだけで止まったよね……。
あのタイプ、間違いなく肉食系だと思うんだけどなあ……」
呆れたように、ぽそりと、彼女が呟いて。
でも彼女の『キス』という言葉に、
この間のことを思い出して、真っ赤になりがながら
それでも言っている意味が分からなくて、
「?」
私が彼女をみて首をかしげると、
「処女で天然は、最強ってこと」
そう言って、くすくす笑いながら、
ぽんぽんと私の頭を叩くように撫でる。
そっと耳元で、
「佳代ちゃん、処女でしょ?」
華やかな香水の香りが、鼻腔をくすぐって、
何だかドキドキしながら、私は真っ赤になって頷く。
「しょーがないなあ……」
まあ間違いなく、結構いいところまで
堕ちていると思うんだよなあ……。
と、そう小声で独り言のように呟いて、
「うーん、彼の事好きでいられるだけでいいの?」
「……その、彼女のことはいいの?」
そう尋ねてくるけど、
「うん。……でも、きっと、
どこかで彼女のことを大事にしている
彼のことも好きだから……」
そういう、馬鹿みたいに正直で、
一度好きになった人を大切にしている彼が好きだから、
そう言って、ふるふると唇が震える、
泣きそうな気持ちを、唇をかんで誤魔化す。
それから、やっぱり彼のことが気になるし、
麻生先生が聞き出すのも上手かったし、
……何より私が誰かに話を聞いてもらいたくて
仕方なかったんだろうと思う。
気づけば、洗いざらい、
この間のキスのことまで全部話してしまっていて、
「……ふぅん、そんなことがあったんだ……」
そう言って、くすくすと彼女が笑う。
「で、佳代ちゃんはどうしたいの?」
彼女は、年下の私を「ちゃん」づけで呼ぶようになっていて、
彼女の話し方が、頼りがいのある、大人の女の人みたいに思えて、
私は、顔をくしゃくしゃにして、
涙が零れそうな顔になりながら、
それを必死に抑え込んで、
自分の気持ちを一生懸命口にしていた。
「……初めて男の人、好きになったんだもん。
私を好きになってもらわなくてもいい、
……せめて今は、拓海の事、好きでいたいの……」
そう言葉にした瞬間、ぽろり、と涙が零れ堕ちる。
「うっわ、こりゃ、くるわ。
やっぱ私じゃ無理だな、これは……」
そんな私の頭を、よしよしと慰めるように撫でて、
それから肩をすくめて彼女が笑う。
「……宮坂センセも、よくキスだけで止まったよね……。
あのタイプ、間違いなく肉食系だと思うんだけどなあ……」
呆れたように、ぽそりと、彼女が呟いて。
でも彼女の『キス』という言葉に、
この間のことを思い出して、真っ赤になりがながら
それでも言っている意味が分からなくて、
「?」
私が彼女をみて首をかしげると、
「処女で天然は、最強ってこと」
そう言って、くすくす笑いながら、
ぽんぽんと私の頭を叩くように撫でる。
そっと耳元で、
「佳代ちゃん、処女でしょ?」
華やかな香水の香りが、鼻腔をくすぐって、
何だかドキドキしながら、私は真っ赤になって頷く。
「しょーがないなあ……」
まあ間違いなく、結構いいところまで
堕ちていると思うんだよなあ……。
と、そう小声で独り言のように呟いて、
「うーん、彼の事好きでいられるだけでいいの?」
「……その、彼女のことはいいの?」
そう尋ねてくるけど、
「うん。……でも、きっと、
どこかで彼女のことを大事にしている
彼のことも好きだから……」
そういう、馬鹿みたいに正直で、
一度好きになった人を大切にしている彼が好きだから、
そう言って、ふるふると唇が震える、
泣きそうな気持ちを、唇をかんで誤魔化す。