【完】確信犯な彼 ≪番外編公開中≫
待ってて欲しいという言葉の意味は、
どういう意味があるのか、それがわからなくて、
麻生先生に、不安で聞いてしまったら、

「待ってて欲しいってことは、
佳代ちゃんは何もしなくてもいい。

ただ、彼がちゃんと話をしてくるのを
待ってたらいいってことでしょ?」
そう言って、綺麗にマスカラの塗られた瞳を細めて笑う。

「宮坂先生が、前の彼女と話をして、
きっちり別れてくるっていうか、
けじめをつけてくるから、それまでは待ってて欲しい。

けじめをつけたらちゃんと付き合うってそう言うことでしょ?」

多分そう言う意味で言ってくれているんだと思ってはいたけど、
それすら不安で自信が持てない。

ずっと彼が好きだった、彼女の代わりになれるんだろうか?

そんな風にぽつりと言ったら、
麻生先生に怒られた。

「代わりなんてないのよ。
彼女は彼女。
佳代ちゃんは佳代ちゃん。
宮坂先生は、彼女より佳代ちゃんに
魅力を感じてしまったから、
佳代ちゃんが欲しいと思ったから、
過去の恋愛に、けじめをつけに行くだけ」

そう言って、自信を持ちなさい、と言ってくれる。
麻生先生の言葉は何だか力強くて、
でも、なんでこんなに私に親切にしてくれるんだろう、って
そんな風に思って、
麻生先生は、もともと拓海が好きだと思っていたから、
ふと気になってそれも尋ねてみたら、

「まあ、そこまで好きじゃなかったってことね。
どっちかっていうと、条件がよかったからかな?」
公務員だし、多分最終的には実家が東京だし、
そっちに戻る人だろうと思ったし、
まあ、オトコっぽくて、そこそこかっこよかったからね。

そう言ってあっけらかんとして笑う。

「でも私、自分のことを一番好きって思ってくれない人には、
最終的には関心が持てないの……」

私から見ても、宮坂先生は、佳代ちゃんが気になって仕方ない、
そんな風に見えたから、勝てなさそうな勝負はさっさと諦めました、

そう言ってケラケラと屈託なく笑った。
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