【完】確信犯な彼 ≪番外編公開中≫
「……そっか、そうだよな……」
そう言って、俺が立ち上がった後をついてくる。
和室の扉を開けると、
拓海が仏壇の前に座る。
ろうそくに火を灯して、
線香を取って、それを仏前に供える。
笑顔の母ちゃんの写真に向かって、
「……お嬢さんを俺に下さい」
そう静かな声で言って頭を下げて、
しばらくそのまま手を合わせて黙とうをする。
その背中に俺は一言声を掛ける。
「……あのな、今まで姉ちゃん、どれだけ泣いたか知ってるか?」
もちろん俺の前で泣いた事なんてない。
けど、朝方、冷たい水で
腫れた目を冷やしている姿なら何度も見ている。
「…………」
黙っている背中に。
「……もう二度と泣かせたら承知しないからな」
そう言うと、すっと仏前から立ち上がって俺の方をまっすぐに見る。
「男は女を守るもんだろ?」
そう俺に教えてくれたのは、拓海だろう?
言葉にせずに拓海の瞳を見つめる。
「……ああ、約束する」
そう言って、俺のことを真剣な瞳で見返して
「もう、これからは一切、
今までみたいに泣かせることはしねぇよ」
「……じゃあ、俺の代わりに、
拓海に守らせてやるよ、佳代を……」
俺みたいな子供相手に、
真剣な声と表情で、真摯に告げるから、
俺は一人前の大人みたいにそう言いかえす。
俺のセリフに、ようやく拓海が小さな笑みを浮かべる。
守ってきたんだか、守られてきたんだか、
お互いにわかんないけど、
俺たち姉弟は、ずっと二人で、やってきたから。
それに、拓海が増えて、
きっと三人でしばらくは守ったり守られたりするんだろうと思う。
そのうち、佳代に子供ができるころには。
俺は一人前の男になって、ここを出ていくんだと思った。
まあ、頼りになるんだか、ならないんだかわかんねぇけど、
一人兄が増えることだしな。
きっと何とかなるだろう?
……ねぇ、母ちゃん……。
俺は、母ちゃんとの約束通り、
今日まで、ちゃんと佳代を守れたかな?
~END~
オマケに続く。
そう言って、俺が立ち上がった後をついてくる。
和室の扉を開けると、
拓海が仏壇の前に座る。
ろうそくに火を灯して、
線香を取って、それを仏前に供える。
笑顔の母ちゃんの写真に向かって、
「……お嬢さんを俺に下さい」
そう静かな声で言って頭を下げて、
しばらくそのまま手を合わせて黙とうをする。
その背中に俺は一言声を掛ける。
「……あのな、今まで姉ちゃん、どれだけ泣いたか知ってるか?」
もちろん俺の前で泣いた事なんてない。
けど、朝方、冷たい水で
腫れた目を冷やしている姿なら何度も見ている。
「…………」
黙っている背中に。
「……もう二度と泣かせたら承知しないからな」
そう言うと、すっと仏前から立ち上がって俺の方をまっすぐに見る。
「男は女を守るもんだろ?」
そう俺に教えてくれたのは、拓海だろう?
言葉にせずに拓海の瞳を見つめる。
「……ああ、約束する」
そう言って、俺のことを真剣な瞳で見返して
「もう、これからは一切、
今までみたいに泣かせることはしねぇよ」
「……じゃあ、俺の代わりに、
拓海に守らせてやるよ、佳代を……」
俺みたいな子供相手に、
真剣な声と表情で、真摯に告げるから、
俺は一人前の大人みたいにそう言いかえす。
俺のセリフに、ようやく拓海が小さな笑みを浮かべる。
守ってきたんだか、守られてきたんだか、
お互いにわかんないけど、
俺たち姉弟は、ずっと二人で、やってきたから。
それに、拓海が増えて、
きっと三人でしばらくは守ったり守られたりするんだろうと思う。
そのうち、佳代に子供ができるころには。
俺は一人前の男になって、ここを出ていくんだと思った。
まあ、頼りになるんだか、ならないんだかわかんねぇけど、
一人兄が増えることだしな。
きっと何とかなるだろう?
……ねぇ、母ちゃん……。
俺は、母ちゃんとの約束通り、
今日まで、ちゃんと佳代を守れたかな?
~END~
オマケに続く。