【完】確信犯な彼 ≪番外編公開中≫
最近、彼氏との連絡も途絶えがちだ。
まあ、遠距離恋愛だからな、
今年の春には転勤で東京に戻る予定だし、
まあ、仕切りなおして、もう一度いい男探そうか。

なんて、ひどく冷静に判断している私は、
結局、佳代ちゃんみたいな行動はもうとれない。

綺麗で純粋で切なくて……。

そんな恋愛をしている佳代ちゃんが、
眩しくてたまらなかった。
ちょっとだけ昔の私がそこにいるみたいで。

甘酸っぱい思いを横で聞いているだけで、
なんか、オネエサンに任せて御覧?
って言いたくなって、ついついちょっかいかけちゃった。
私が手を引いてあげたんだから、
絶対に幸せにならないと承知しないよ
って言う気持ちも……。
まあ、矛盾しているけどちょっとあったかも?

まあ、そもそも、
私が彼氏ができたって言った時点で、
あれだけすんなりよかったな、と
宮坂先生に言われちゃったらな。
予想してたけど、絶対ナイ目だったってわかるもん。

伸びかかった巻き髪を指先でくるくると巻く。

「そろそろ美容院いかないと……」
島には、マシな美容院ないんだよなあ……。
と小さくため息をついて。

「サイテー。
あいつらのせいで、寝不足……」
目の下のクマを手鏡で見て文句を言う。

立ち上がって、浴室の前で服を脱ぐ。
気合で熱いシャワーを浴びて、
それじゃ、美人教師@休日ver.を作ってきますか。

最後にすっぴんのまだ何も作ってない自分が映る鏡を覗き込んで、

「……でもやっぱ、素直に幸せアピールしちゃって、
宮坂先生、ちょっとムカツク……」

今度どこかで仕返ししてやろう。
何をさせたら、彼は閉口するだろうか……。
ちょっとそんなことを想像して、
閉口する宮坂先生を想像して、小さく笑みが浮く。
次の瞬間。

「……あーあ、やっぱりちょっとは惚れてたかな?」

ちょっとだけため息をついて、
熱いシャワーに身を躍らせた。



── END ──
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