【完】確信犯な彼 ≪番外編公開中≫
澄んだ秋の空に、パァンという華やかな音がして、
一斉に父兄と教職員が走り始める。
BGMはお約束の『天国と地獄』だ。
俺は赤、彼は白い襷を掛けられている。
どうやら敵チームということだな……と思いながら、
目の前のリレーの状況を確認する。
子供たちの赤と白を応援する歓声のなか、
状況は、白の父兄、赤の教職員、
赤の父兄、白の教職員の順でゲームが展開している。
抜いたり抜かれたりはあるものの、
誰かが転んだり、怪我をしたりの
トラブルもハプニングもなく、
次々とバトンが渡され、
赤の教職員チームがリードした状態で、
俺の順番が迫る。
「拓海ぃ、最後まで逃げ切りなさいよおっ」
すっかり熱くなっている佳代が叫んで、
隼大が頭を抱えている。
アイツもああやって毎年応援されていたわけだ。
思わずニヤリと笑う。
バトンの受け渡しのためにゆっくりと走り出しながら
後ろを見ると、 白の父兄が少し遅れている。
「宮坂先生、このまま逃げ切ってくださいよっ」
男性教師からバトンを受け取ると、
ちらっと後ろを見て、
もう一度、距離が変わらず開いているのを確認してから、走りだす。
走り始めて、すぐ思った通り
さっきの父親が徐々に近づいてくる気配がする。
「負けんじゃねぇぞぉぉぉぉぉっ!」
やんちゃな彼の息子が、ラインギリギリまで出てきて、
手をグルグルと回して、力いっぱい父親を応援している。
「お前が偉そうに言うな」
と呟く声と、それでも息子の応援により力が入ったのか、
後ろから微かに聞こえる足取りが軽く、一層早くなった気がする。
いや、これ本気で走らないと抜かれるぞ、と
必死にピッチを上げる。
相手の呼吸音が聞こえるほど近づいていて、
後ろを振り向く余裕もない。
てか、意外と父親の方も
一見クールそうな見かけによらず、負けず嫌いそうだ。
……アイツも負けず嫌いだからな、
そこら辺は父親似か……。
(俺に息子が出来たらやっぱり似ているんだろうか)
などと考えて、思わずニヤリと笑みが浮く。
荒い息を抑えこみつつ、
ゴールまで後50mの辺りまで来た時に。
一斉に父兄と教職員が走り始める。
BGMはお約束の『天国と地獄』だ。
俺は赤、彼は白い襷を掛けられている。
どうやら敵チームということだな……と思いながら、
目の前のリレーの状況を確認する。
子供たちの赤と白を応援する歓声のなか、
状況は、白の父兄、赤の教職員、
赤の父兄、白の教職員の順でゲームが展開している。
抜いたり抜かれたりはあるものの、
誰かが転んだり、怪我をしたりの
トラブルもハプニングもなく、
次々とバトンが渡され、
赤の教職員チームがリードした状態で、
俺の順番が迫る。
「拓海ぃ、最後まで逃げ切りなさいよおっ」
すっかり熱くなっている佳代が叫んで、
隼大が頭を抱えている。
アイツもああやって毎年応援されていたわけだ。
思わずニヤリと笑う。
バトンの受け渡しのためにゆっくりと走り出しながら
後ろを見ると、 白の父兄が少し遅れている。
「宮坂先生、このまま逃げ切ってくださいよっ」
男性教師からバトンを受け取ると、
ちらっと後ろを見て、
もう一度、距離が変わらず開いているのを確認してから、走りだす。
走り始めて、すぐ思った通り
さっきの父親が徐々に近づいてくる気配がする。
「負けんじゃねぇぞぉぉぉぉぉっ!」
やんちゃな彼の息子が、ラインギリギリまで出てきて、
手をグルグルと回して、力いっぱい父親を応援している。
「お前が偉そうに言うな」
と呟く声と、それでも息子の応援により力が入ったのか、
後ろから微かに聞こえる足取りが軽く、一層早くなった気がする。
いや、これ本気で走らないと抜かれるぞ、と
必死にピッチを上げる。
相手の呼吸音が聞こえるほど近づいていて、
後ろを振り向く余裕もない。
てか、意外と父親の方も
一見クールそうな見かけによらず、負けず嫌いそうだ。
……アイツも負けず嫌いだからな、
そこら辺は父親似か……。
(俺に息子が出来たらやっぱり似ているんだろうか)
などと考えて、思わずニヤリと笑みが浮く。
荒い息を抑えこみつつ、
ゴールまで後50mの辺りまで来た時に。