【完】確信犯な彼 ≪番外編公開中≫
「!」
トコトコとラインを割って
リレーのエリアに入り込んできたのは、
2歳位の男の子だ。
思わず俺と、彼の足が止まった。
一瞬どうしようか迷うが、
この後立て続けに他のリレーメンバーも走りこんでくる。
危ないし、盛り上がっているリレーを止めるのも無粋だ。思わず抱き上げて、
「親御さんは居ますか?」
大きな声をとっさに掛けても誰も出てこない。
「なんでまた……親はいないのか?」
子供は人見知りしないタイプなのか、
俺の方に向かって、
「ぱぱ~」と言って、
俺に抱きつくように手を伸ばしてくる。
「……先生の隠し子か?」
彼が完全に足を止めて尋ねてくる。
おかしいのか、唇が微妙に震えている。
「そんなのがいたら、嫁に殺されますよっ」
思わず言い返しながら、ちらっと後ろを見ると、
だいぶ遅れていたはずの
下位チームが追い付いてきている。
「どうするんだ? 負けたら夕食抜きだろう?」
くつくつと我慢しきれなくなったらしい、
クールで男前な相貌を崩して彼が笑う。
俺はとっさにその子を、肩に担ぎあげて肩車をする。
とっさの事に子供たちの放送の声が止まっている。
「……夕食抜きは困るんですよ。
うちの嫁、飯旨いんですよ。他所で食う気がしねぇ」
どうでもいいことを言いながら、
しっかりとその子を抑え込みながら、軽く走り始めると、
ふっと彼が笑みを浮かべて、
ちらっと後続を確認する。
「じゃあ、きっちり逃げ切らねぇとな」
うちの子も、負けず嫌いだからな……。
負けるとうるせぇんだよ。そう呟くと、
何度目かの視線が交わり、
「転ぶんじゃねぇぞ?」
そう俺に声を掛けて、彼は走り始める。
俺も同じく走り始めるけど、スピードはどうしても出ない。
軽いジョギングの速度で、残り50mを走る。
トコトコとラインを割って
リレーのエリアに入り込んできたのは、
2歳位の男の子だ。
思わず俺と、彼の足が止まった。
一瞬どうしようか迷うが、
この後立て続けに他のリレーメンバーも走りこんでくる。
危ないし、盛り上がっているリレーを止めるのも無粋だ。思わず抱き上げて、
「親御さんは居ますか?」
大きな声をとっさに掛けても誰も出てこない。
「なんでまた……親はいないのか?」
子供は人見知りしないタイプなのか、
俺の方に向かって、
「ぱぱ~」と言って、
俺に抱きつくように手を伸ばしてくる。
「……先生の隠し子か?」
彼が完全に足を止めて尋ねてくる。
おかしいのか、唇が微妙に震えている。
「そんなのがいたら、嫁に殺されますよっ」
思わず言い返しながら、ちらっと後ろを見ると、
だいぶ遅れていたはずの
下位チームが追い付いてきている。
「どうするんだ? 負けたら夕食抜きだろう?」
くつくつと我慢しきれなくなったらしい、
クールで男前な相貌を崩して彼が笑う。
俺はとっさにその子を、肩に担ぎあげて肩車をする。
とっさの事に子供たちの放送の声が止まっている。
「……夕食抜きは困るんですよ。
うちの嫁、飯旨いんですよ。他所で食う気がしねぇ」
どうでもいいことを言いながら、
しっかりとその子を抑え込みながら、軽く走り始めると、
ふっと彼が笑みを浮かべて、
ちらっと後続を確認する。
「じゃあ、きっちり逃げ切らねぇとな」
うちの子も、負けず嫌いだからな……。
負けるとうるせぇんだよ。そう呟くと、
何度目かの視線が交わり、
「転ぶんじゃねぇぞ?」
そう俺に声を掛けて、彼は走り始める。
俺も同じく走り始めるけど、スピードはどうしても出ない。
軽いジョギングの速度で、残り50mを走る。