【完】確信犯な彼 ≪番外編公開中≫
「どうせオンナに振られたんだろう?」
どこかムキになった様子で貴志が先生に絡む。
なんだか貴志は少し酔っぱらっていて、
不穏な響きがその声の奥底に潜んでいるような気がして、
私は、思わず貴志の顔を見つめてしまった。

「……まあ、そんなもんだ」
貴志をなだめるように、先生はそう言って、
「そのうちまた、他にイイ女を探すさ」
そう言って、自嘲気味に笑う。

「ところで、校長先生ってね?」
その場の雰囲気をなだめるように、
ママがたわいもない話をし始めるから、
私も、先生もどこかホッとした気持ちで、
ママの話に相槌を打って、その話に集中するふりをする。

その後は、久しぶりのお酒に少しだけ酔っぱらって、
私は笑いながら、みんなたわいもない話を聞いている。

貴志はペースが速かったのか、
すでに酔っぱらっていて、
顔を突っ伏してうとうとしている。

「ああ、もういい加減帰らないと」
ふと時計を見ると、すでに12時を超えていた。
私はカウンターから立ち上がる。

「先生、佳代ちゃん送っていってあげて」
ママがそう言うと、

「はいはい、じゃあ、帰るか」
そう言って、彼が立ち上がるから、
私は彼の後を追うことになる。

「じゃあ、またね。おやすみなさい」
そう声をかけて、店を出た。
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