【完】確信犯な彼 ≪番外編公開中≫
それから小一時間ほどして。
暗い夜道を、彼と一緒に歩いていた。
多分歩けば5分ほどの距離で、
きっとあっという間に私は家に着いてしまう。
だけど私は先ほどの彼の話が聞きたくて、
……何があったのか、今何を思っているのか、
聞きたくて。
なのに聞けなくて。
彼も珍しくあまり話しかけてこないから、
余計私は焦燥感が増す。
わずかに光る街灯の明かりが、彼の横顔を映し出す。
かなり飲んでいたと思うのに、
酔っている様子もなくて、その頬は赤みを帯びてもいない。
そして、そこには何かで切ったような跡が残っていて、
なぜか私は無意識でそこに指先を伸ばしていた。
「!」
彼がびっくりしたように一瞬足を止める。
「あ……ごめんなさい」
無意識で触れた傷跡に、
自分でもなんでそんなことをしたのかもわからなくて、
私はあわてて彼に頭を下げた。
暗い夜道を、彼と一緒に歩いていた。
多分歩けば5分ほどの距離で、
きっとあっという間に私は家に着いてしまう。
だけど私は先ほどの彼の話が聞きたくて、
……何があったのか、今何を思っているのか、
聞きたくて。
なのに聞けなくて。
彼も珍しくあまり話しかけてこないから、
余計私は焦燥感が増す。
わずかに光る街灯の明かりが、彼の横顔を映し出す。
かなり飲んでいたと思うのに、
酔っている様子もなくて、その頬は赤みを帯びてもいない。
そして、そこには何かで切ったような跡が残っていて、
なぜか私は無意識でそこに指先を伸ばしていた。
「!」
彼がびっくりしたように一瞬足を止める。
「あ……ごめんなさい」
無意識で触れた傷跡に、
自分でもなんでそんなことをしたのかもわからなくて、
私はあわてて彼に頭を下げた。