【完】確信犯な彼 ≪番外編公開中≫
「……私だってどうしたらよかったのよ……」

街灯の下、そう呟いて、
でも戻ってこない隼大に、私は足取りも重く部屋に戻っていく。

手の付けられてない夕食を見て、
きっと、落ち着いたらおなかがすいて帰ってくる、
そんな風に思って、でも、自分自身も食欲をうしなって、
クタクタと食卓の椅子に座り込んでしまう。

そうして、しばらく彼が帰ってくるのを待っていても、
なかなか帰ってこなくて……。

気づけば、8時を回っている。
途中で隼大の友達の家にも電話をしたけれど、
誰の家にも隼大はいなくて……。

「あ……もしかして」
ふと思いついて、宮坂先生に電話をかけてみる。

「あの、佳代です……」
そう声を掛けると、
「……ん? どうした、なんかあったのか?」
そう電話の向こうで尋ねてくれる声に、
思わず、ホッとして涙がぽろぽろと零れてきてしまう。

「……泣くなよ……」
向こうで少しだけ困った声がする。

「…………泣いてません」
思わず泣き声でお約束の様にそう答えると、
一瞬ふっと笑う先生の吐息が聞こえた。

「わかったよ、佳代は泣いてない、泣いてない
……で何があったんだ?」
そう尋ねる声が優しいから、
思わず、泣き声でしゃくりあげてしまった。

「……ああもう面倒な奴だな。
今、家だな? そっちに行くから、ちょっと待ってろ」
その瞬間、乱暴に電話が切れた。
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