【完】確信犯な彼 ≪番外編公開中≫
「まあ、ちょっとあいつとも話してくるわ。
だから、すぐ帰ってくると思うなよ?
居場所がわかっていれば、これ以上
お前も、余計な心配もしねぇだろうし。
……飯でも食って待ってろ」
先生はそういうと、そのまま踵を返して、
振り向くこともなく、出かけていく。
私は部屋に戻り、小さくため息をついた。

連絡帳を読み直して、そうか、宮坂先生は、
ちゃんと隼大のことがわかってくれている。
なのに、私はどうだったんだろう。
ふと、そんな事を考えながら、
私は隼大が帰ってきたとき、
どうやって話をしたらいいのかと、悩む。

連絡帳に再び目を落としていると、家の電話が鳴った。

「はい」
電話を取ると、それは宮坂先生で、

「ああ、今奴と飯食ってる。
終わったら連れて帰るから、
ちゃんと謝ることがあるなら、謝れよ?」
とだけ言って、こっちの返事も待たないまま電話が切れる。

(そうだよね、自分が不十分だったことなら、
ちゃんと謝ればいいんだ)

そんな基本的なことも分からなくなってた。
感情的に怒ったことを謝って、
これからは自分の目で隼大のことを判断しよう。

そう思ったら急にホッとして、
おなかが鳴った。

(人間って現金だな~)
思わず、苦笑しながら、私は冷えた料理を食べ始めた。



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