【完】確信犯な彼 ≪番外編公開中≫
その後、何があったのかわからないけど、
連絡帳の内容は徐々に落ち着いて行った。

そして、件の教師が我が家に来る、
家庭訪問の時期がやってくる。

隼大の順番は一番最後の日の、最後で。
なんか、長い事、話をされそうだなと、
微妙にブルーになりながら、
例の担任の先生がやってくるのを待っていた。

呼び鈴が鳴って、
玄関先に出ると、そこにいたのは、
25~6歳の、まだ若い女性の先生で、
くるくる巻かれた巻き髪に、
綺麗なスーツを着ていて、タイトスカートを履いている。

(……あんまり子供と一緒に遊べる恰好ではなさそう。
まあ、今日は家庭訪問だから、
こういう格好なのかもしれないけど……)

そんな風に冷静に思っている私を見て、

「初めまして。担任の麻生と申します」
そう言って玄関先で頭を下げるので、
「こちらこそよろしくお願いします。
良ければ家の方にどうぞ……」

「よろしいんですか、すみません~」
先生は遠慮することなく、玄関で靴を脱ぐ。
きょろきょろと室内を見ながら入ってきて、

「お仕事忙しいでしょうに綺麗にしてらっしゃるんですね」
「そんなことないですよ」
「まだ、看護師になられたばっかりということは、
22歳くらいなのかしら?」
そう聞かれて、咄嗟に、

「いえ、21歳です」
そう答えると、ふぅんと何か言いたげに一瞬目を細めた。
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