【完】確信犯な彼 ≪番外編公開中≫
恋の始まりとライバル
そうこうしているうちに、徐々に季節は夏に向かい、
今度は期末個人懇談会、ということで、
私は学校に向かう。

結局懇談会では麻生先生の間でも、
大した話も出ず、正直あまり期待もしてなかったので、
懇談を終えたことに満足して、
私はそのまま帰ろうかと思っていたのだけれど、

ちょうど、職員室の前で、
校長先生とばったり出くわしてしまった。

現校長先生は、もともと、
私の小学校の時の担任の先生だから、
昔の友達の話題を含めて、
気づけばあっという間に30分近く立ち話をしていて、
日が暮れる様子にあわてて、私は家に戻ろうとしたその時。

「あ……」
隼大の教室でもらった書類を、
置き忘れていたことに気づいて、
慌てて、隼大の教室に戻ろうとした。

「……あれ?」

隼大のクラスはすでに懇談会は終わっているのに、
担任の声が聞こえていて、
それが、教室で話すには随分甘ったるい声で、
その声音が教室に似つかわしくないような気がして、
一瞬、戸を叩くことをためらってしまう。
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