【完】確信犯な彼 ≪番外編公開中≫
私は何も考えられなくなってしまって。
でも、なんだかしんどくてたまらなくて。
どうしたらいいのかわからなくて、
しばらくしてから立ち上がると、ゆっくりと家に向かう。

そんな時に島に帰省中の幼馴染が、
帰ってきたよ、とメールをくれていたのに気づいて、
藁にもすがるような気持ちで、返信メールをした。

珍しく弱気な私のメールに、
びっくりしたのか、
返信より先に電話が入って、

「佳代、らしくないじゃん、どうしたの？」
そう聞いてくれるから、

「……なんか、もう何が何だかわかんなくなっちゃった……」
そう私が言うと、

「今日は隼大いないんだよね？
私、今日暇だからそっち行くわ！」
そう言うと電話が切れて、
慌てて私が片づけをする暇もなく、
ドアをノックする人がいる。

「……ちひろぉ……」
玄関を開けて、覗いた顔を見た瞬間、
ほっとして、涙がぽろぽろと零れる。

「ちょ、ちょ、ちょっと……」
びっくりしながらも、千尋は私の部屋にどんどん上がってきて、
私の胸元に冷たいコーヒーを押し付けながら、
「いったい何があったの！！」
そう言って、私を抱きしめる。

私は千尋に抱きしめられて、力が抜けてしまって、
しばらく泣いて、久しぶりに壊れたみたいに泣いて、
……それから赤い目と赤い鼻をこすって、
ふぅっと、ため息をつく。
もらったコーヒーを一口飲んで、ようやく話ができるようになった。

普段泣かない私がこんなに泣いているから、
千尋は圧倒されていて、
それでも何かあったんだろうと思ってくれたらしく、
じっと黙って私が泣きやむまで待っていてくれた。
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