【完】確信犯な彼 ≪番外編公開中≫
もしかしたら、生まれて初めてかもしれない、
胸の高鳴りに、一人戸惑いながら、

「ほら、しっかり食えよ」
そう彼に言われて慌てて慣れないナイフとフォークを使う。

料理は申し分なく美味しくて、ついつい笑みが浮かんでしまう。
彼はそんな私を柔らかい瞳で見つめている。
その視線に煽られるみたいにして、
私の鼓動は全然おさまってくれない。

彼は、少しぐらいは、
私を女性として見てくれているんだろうか?
その忘れられないのかもしれない女性より、
……私のことを好きになってくれる可能性は、
ほんの少しでもあるんだろうか……。

そんなことをこっそりと思いながら、
私は彼と一緒の時間を、
切なくて苦しくて……。

それでいて、
たまらなく幸せな時間を一緒に過ごした
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