【完】確信犯な彼 ≪番外編公開中≫
母の気持ちを考えろという言葉で、考え直してみれば、
きっと母は私が隼大のために、
看護学校を辞めるなんて言う選択を、
絶対良いなんて言ってくれる人じゃなかったことを思い出す。

何よりも、
どんな状況になっても、自分で自立して生きていけること、
それを母は子育ての最終目的だと言っていた人だった。
私が、看護学校に進学するという事についても、
自分と同じ職業を選んだというそのことよりも、
一生稼いでいける資格を取る選択をしたことに対して、
『頑張りなさい、応援してるわよ』
そう言ってくれた人だから。

だから、ちゃんと学校を卒業して、
看護師の資格を取らないと、
母との約束を破ってしまうような気がした。


看護学校に戻るとなると、3年次の看護学校は、
連日実習とレポート提出の毎日で、
一回でも休めば、その単元を取るのが難しくなる。
たとえ、実家の親が亡くなったとしても、
悠長に休んでいる余裕なんて許されない。

そうであれば、すぐまた東京に戻らないといけなくて、

『穂のか』のマスターや、ママさん、
自分の友達とか、周りの人に相談すると

もし、宮坂先生が面倒を見てくれると
言っているのであれば、それに甘えたらいいのでは?
という人が多かった。

私はよく知らなかったけど、4月に赴任して以来、
隼大の担任の先生は、結構ここの土地に、
積極的になじんでいたらしく、
怖そうな風貌の割に、周りの人の評判もいい人らしい。
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