【完】確信犯な彼 ≪番外編公開中≫
先生は麻生先生にお弁当を勧められて、
愛想よく食べている。

「佳代さんのお弁当、
おふくろのお弁当って感じですね?」
ふふふと、麻生先生が笑う。

「味見させてもらってもいいかしら?」
そう言って、一つ煮物を摘まむから、
「麻生先生のお弁当綺麗ですねえ。
私も味見させてください……」
そう言って一口摘まませてもらう。

……見た目は綺麗だけど、味はなんか既成の味っぽくて、
ああ、そうか、冷凍商品なんだ……と納得した。

そんな仕方のないことで、
ちょっとだけ機嫌のよくなる私は、
相当に性格が悪い。
そして、私のお弁当を食べた麻生先生は、
ちょっとだけ不機嫌になった……。

母親が看護師で、不在勝ちの母親の代わりに
小さな頃から料理をしてたんだから、
そりゃ、麻生先生とは、年季が違うよね、
と小さく笑みを浮かべ、心の中でガッツポーズをする。

小さく麻生先生がため息をついて、

「そうだ、デザート持ってきたんです」
そう言って、大人にはコーヒーを
紙コップに入れて、みんなに配ってくれる。

それから小さなカップケーキをみんなに配ってくれた。

……こっちは作り慣れているのだろう、とってもおいしくて。
結局くだらない意地の張り合いをしてるかもしれない
私たちをよそに、
宮坂先生も、隼大も、剛君もみんな楽しそうで。

まあ、こんなのもたまにはいいか、
と、私は必死な麻生先生を見ながら、
下を向いて小さな笑いを噛み殺していたのだった。
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